44.それでもかめ虫はやってくる。

治療を持ち越して2ヶ月目の本誌締め切りが情け容赦なくやってきた。体調不良は、気分も落ち込ませる。身の回りに山積みになった未整理の仕事になんとか気分を奮い立たせようとするのだが、いつもの様にケツに火がつかない。町の振興プロジェクトとか組合事業も何もかも調子の良いときに自分自身で火を放っておいてほったらかし。何という無責任なヤツなんだろう。時間だけがホントに虚しく過ぎていく。この原稿も締め切りを3日過ぎた今、重い指先を休め休め打っている。あぁ駄目だ。もう何もかも投げ出してしまおうと思ってしまう。言い訳ならいくつでも思いつく。身体の性にしてしまおうかそれとも仕事のミスで責任をとるか、いっそ家族にも知らせずに蒸発してしまおうか。何とかこの原稿にも手が出せた理由は、「こんな気分になった事は、今回が初めての事じゃない。」という自分自身の思いだけ。そう言えばあの時もそうだった。いくつかの記憶の山を辿りながら、「いつも何とかなったな」と、何とも悲観的状況の中で呑気な思いが過ぎってくる。「しめた!」この呑気さこそが私の信条、この「何とかなるさ」が頭を持ち上げさえすれば乗り切れる。なんともいい加減、なんとも無責任つーのかな、やっぱし。  さて50回目の故郷の雪景色がまもなくやってくる。事業は、年度で締めるとは言うものの年末に近づけばそれなりに今年を振り返る。家業の業績の事、家族の事、町の事、それらの中での自分のやって来た事に自己採点してみる。仕事などは、そこそことしても家族に対しては、良い点数がもらえそうもないな。やれ組合だぁ、観光協会だぁと家を空けたり、家にいてもパソコンでそれらのHPをつついたり、企画書書いたり、最近じゃビデオチャットの「やどちゃ」もやってるし、部屋に閉じこもってるか、組合の会議室にいて、役に立たないお父さん。ある程度理解はしてくれてるとは思うが身勝手な父親と思っているに違いない。実際その通りなのだから、言い訳もできやしない。甘く見てえも10点か20点がいいところだろう。今日は、幸い暇だし、罪滅ぼしに焼き肉屋にでも連れてってやろう。何とも安い罪滅ぼしだな。出かけたついでに買い物もしなきゃ。そうだガムテープをしっかり買い込んでおかなきゃな。先週当たりから客室の電話から「ブーンて大きな虫が飛び回ってるんです。」と言う苦情が入り出した。今年もかめ虫の季節がやって来た。業者に駆逐を頼むほどの事もないのだが夕食時とか深夜のやっと一休みしようかとしているときの様な忙しいときに限って突発的に発生する。ご到着のご案内で「辺りが山ですからこの時期お姫さん(岡山県北でのかめ虫を指す方言)がお邪魔する事もあります。お知らせ下されば直ぐに参りますから捕まえようなどと手を出さない様にお願いしますね。」このお姫さんには、殺虫剤も駄目、殺す事は出来ても強烈な臭いをまき散らす。そっとガムテープで捕獲して野外に連れ出すのがやはり一番有効な様だ。しばらくはガムテープ片手に客室を走り回ることになるでしょう。