35.湯原温泉が日本一?
     「数字遊び」

新聞を読んでいたら「温泉ソムリエ」と言う言葉が目にとまった。新潟県「赤倉温泉」の取り組みが紹介されていた。旅館の若手経営者らが自分たちの町の歴史や温泉健康法を学び地域の魅力を語る事の知識に磨きを掛けるという試みの様だ。実に素晴らしい試みだと思う。昨年十一月に福島県で行われた「健康と温泉フォーラム」にも参加したが事例でお聞きした「いわき湯本温泉」の「バルネオセラピスト(温泉療法士)」と通じる事業の様だ。いわき湯本に習い湯原でも「温泉セラピスト」の養成を始める予定だがカリキュラムの中にどうしても地域の温泉史を入れたいと思っていた。古くからの温泉ならその過程に湯治場としての歴史もあり、そこには独特の入浴法も伝えられている。先人の知恵から学ぶ事も多いはず。赤倉の取り組みも是非、参考にさせて頂きたい。ところでこの赤倉温泉の紹介の中で「セ氏五十一度、噴出量三千リットル/毎分、宿泊施設数百四軒、年間宿泊者数百二十一万人」とあり、「随分と立派な温泉地なのだなぁー」と我が温泉町と比べてみた。そこでフト横にあった計算機で遊んでしまった。「年間百二十一万人なら一日当たり約三千三百人だ・・フムフム。これが湯原なら毎日、超満状態、さぞ賑やかな温泉街だろう」と想像する。「赤倉温泉の魅力は、歴史と自然と湯量の豊富さ」との事。これは湯原にも当てはまると計算機で湯量を打ってみた。「毎分三トンだから、一年の総噴出量は、百五十七万六千八百トン。」これを宿泊者数で割ると一人当たり、1.3トンが一人当たりの湯量となる。試しに日本一の湯量を誇る草津温泉の場合を計算してみた。「三十二トン/毎分で年間なら千六百八十一万九千二百トン」、年間宿泊者数百八十一万人だから一人当たり約9.2トンだ。やはり草津は凄い。「我が町は、どれくらいになるのだろう?」と町の資料から計算してみた。総湯量は、四.三トン/毎分。同じように「湯量÷宿泊者数」を計算して驚いた。「なんと・・・約10トン強だ。草津より多い。」日本一の草津温泉より一人当たりの湯量は、湯原温泉の方が多い。「日本一より多いのだから湯原こそ日本一だ。」と計算機片手にはしゃぎ回り、だれかれ構わずに声を掛けては、計算機を打ってみせる。「どうだ、湯原の方が多いだろう。湯原温泉が日本一だ。」でもみんな成る程とは頷くものの腑に落ちない様子。腕組みをして首を傾げ怪訝そうにつぶやく「じゃどうして湯原は、二十二万人しか来ないんだい。」湯量は、豊富だし温度も摂氏五十三度と適温、泉質も無色透明無味無臭、低張性アルカリ高温泉(ph9.23)。江戸の時代の温泉番付にも西の関脇になっている。と言う事は、温泉以外に問題がありそうだ。「空がない」と言われる程に狭い谷間の地である事や交通の便の悪さもあるだろう。でも一番の問題は、この天の恵みを生かし切っていない我々の問題のようだ。「赤倉温泉やいわき湯本そして温泉文化を活かそうとしている各地を見習わなければね。」井の中の蛙、大海を知らず、頑張ろう湯原人、頑張ろう日本の温泉。癒しの原点は、温泉とそこに住む人と文化にある。